個別株はもちろん、投資信託でも組み入れられた株式をチェックすると、どんな企業に投資しているかがわかります。自ら投資している企業がどのような分野の企業で、何をしている会社なのか、将来性はどうなのかなど調べることも投資の面白さです。

 例えば、つみたてNISA対象商品のeMAXIS Slim米国株式(S&P500)には。NVIDIA(エヌビディア)というアメリカの半導体メーカーの株式が組み入れられています。この企業は生成AIに関する事業を手がけたことで株価が上昇し、時価総額が世界1位(トヨタの10倍)となったことが最近話題になりました。また、日本株を対象とした投資信託でも東京エレクトロンなどの半導体企業の株式を組み入れたものが多くあります。東京エレクトロンは、世界有数の半導体製造装置を作る企業です。

 半導体は、私たちに身近な家電(テレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、炊飯器)やパソコンやスマホ、自動車など広範な分野で使用されています。将来的には、パソコン、スマホの高性能化、電気自動車や自動運転技術の普及、生成AIの開発などデジタル化社会実現に欠かせないものであり、半導体産業は更に発展していくものと思われます。

 さて、半導体メーカーと言っても色々な分野があります。

 まず、半導体デバイスの土台となるウエハーを製造する企業です。この分野は、信越化学工業とSUMCOの日本企業2社が世界でもトップレベルのシェアを持っています。

 次に、半導体デバイスメーカーですが、開発設計を行うファブレス企業、製造を行うファンドリー企業、そして半導体の設計から生産まで一貫して行っているIDM(Integrated Device Manufacturer)企業に分類されます。上述したエヌビディアはファブレス企業です。また、近年熊本に進出した台湾企業のTSMCはファンドリー企業(世界シェアの50%以上を占めています)、韓国のサムスンや米のインテル、日本のルネサスエレクトロニクスやキオクシア(今年10月に東京証券取引所に上場が予定されている)は、IDMです。

 更に、半導体を製造する装置を作る企業があり、日本では上述した東京エレクトロンの他KOKUSAI ELECTRICがあります。両者ともに世界トップレベルです。

 1980年代には、東芝や日立などの総合家電メーカーに代表される日本企業が作る半導体が世界シェアの50%以上を占めていましたが、今や10%程度にまで落ち込んでいます。

 この状況を打開するため、政府も積極的に民間企業の支援に乗り出しています。台湾のTSMCの熊本進出は、半導体の安定供給を支えることになります。また、2022年に創業されたファンドリー企業のラピダスへも多額の支援を行っています。こちらは、最先端の半導体デバイスの製造を目標にしています。

 半導体産業は、これからも大きな成長が見込まれる分野です。日本企業の復活が期待されます。