4月26日に日銀政策決定会合が行なわれましたが、政策金利の変更はなく、円安は更に進行し1ドル150円台後半の水準になっています。日銀の上田総裁は記者会見で、今後円安が物価に影響を及ぼすことになれば金融政策による対応を検討する考えを示しました。

 一般的に金利が上がれば、株価は下落方向への圧力がかかります。今後、実際に金利の引き上げが行なわれれば、現在の株価が急速に最高値を更新している反動もあり、株価は予想以上に大きく下落する可能性もあります。

 SNS上では、既に「株価大暴落」「つみたてNISAで損切り」というような言葉も目につくようになりました。損切りとは、これ以上の損を増やさないために買値よりも低い売値で売ってしまうことです。株価が下落すればつみたてNISA商品の価格も下落し、これまで積み立ててきた評価額も元本を割る可能性があります。実際に大きく下がった数字を見てしまうと損が小さいうちに売ってしまおうという衝動に駆られがちです。

 しかし、慌ててはいけません。つみたてNISAの狙いは、リスクを極力抑えつつ少額を定期的に定額で長期的に投資していくものです。価格が上下動するリスクを前提とした投資手法ですから、今後政策金利上昇によって株価が下落したとしても淡々と投資を続けることが重要です。

 過去のことが、将来も起こるとは言えませんが、2008年のリーマンショックにおいて、日経平均株価はそれまでの価格の半値以下まで下落しました。その際、損切りした人は損が確定してしまいましたが、株価は2015年にはリーマンショック以前の株価を上回る水準にまで回復しています。つみたて投資では、一時的な情勢に左右されないことが重要です。

 投資を始めたばかりの人が慌てないで投資するためには、もう一つ重要なことがあります。それは、自分の資産を使う時期や目的によって置く場所を考えることです。アセットアロケーションといいます。例えば、将来のライフイベントを考えつつ、今後5年くらいで使うお金、平均余命までに支出が予想されるお金と使用予定のないお金に3分割します。近い将来必要となるお金は、引きおろしが容易でリスクの少ない預貯金へ回し、将来必要なお金は定期預金や債券など、そして使う予定のないお金でリスクをとって株式や投資信託へという考え方です。予備的経費であれば、心の余裕を持って多少リスクの高い商品も購入対象として考えることがきできます。