来年1月から新NISAが始まります。岸田政権の国民の所得倍増計画の一押し政策です。
『NISAをくれ!』と言ってきた友人がいましたが、NISAは商品ではありません。イギリスのISA(Individual Savings Account)という制度をモデルにしたもので日本版ISAということで、NISA(Nippon Individual Savings Account)と呼ばれている制度です。通常、預貯金と同じく投資により得た利益は20%の税がかかりますが、この制度を利用することによって非課税になります。
 我が国の個人の金融資産 約2,000 兆円ありますが、半分以上が預貯金で 保有されています。一方、米国や英国では、ISA制度などを利用して金融資産の半分以上が投資に回されています。その結果、この20年間で米国の個人金融資産は6.7倍に増加しました。一方、日本の個人金融資産は2倍になったにすぎません。
 この状況を改善すべく、「貯蓄から投資へ」のスローガンの下2014年にNISAがスタートしました。今や口座数は1,900万口座となり31兆円規模の投資額となっています。この流れを更に加速させ、より多くの人に、より多く投資を促すため、NISA制度の拡大版である新NISAが開始されることになりました。
 新NISAは、つみたて枠と成長枠で構成されています。つみたて枠は年間120万円まで、最大1800万円まで投資信託に投資することができます。また成長枠では年間240万円まで、最大1200万円まで投資信託そして株式などにも投資できます。つみたて枠と成長枠の合計で年間360万円、全体枠として1800万円が限度です。特につみたて枠の対象となる投資信託商品は、初心者にも過度のリスクや手数料にならないよう一定の条件を満し、かつ金融庁に届け出されたものに限られています。得られる利益は非課税ですし、この制度をフル活用出来れば、数年前、話題になった老後2000万円問題にも対応出来そうですね。
 (※投資信託とは、投資する人から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が多くの株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品です。従って、一般的には1つの株式に投資するよりもリスクは小さくなります。多くの会社が一度に倒産する可能性は低いからです。もちろん、低額(例えば毎月100円)の積立も可能です。)
 NISAを利用するためには、金融機関にNISA口座を設ける必要があります。初心者には手数料が比較的安いSBI証券や楽天証券などネット証券をお勧めします。手続きはスマホでも可能です。初めはコツコツ積立ができるつみたて投資枠を利用して、インデックス型の商品を選択され、少額から投資されるのが良いと思います。詳しくは、次回以降順次紹介していきます。
(※インデックス型とは、その投資信託商品価格が、日経平均などの株価指標に連動するもので、一般的に経費が安いのです。)
 次回は、なぜ初心者にはネット証券やインデックス型の商品が良いのかの理由を含め「馬鹿にならない手数料と信託報酬」について紹介します。