またまた、金利の話です。金利は1%の差でも預貯金、ローンはもとより為替や株価などにも極めて大きな影響を及ぼす金融の世界ではとても重要なファクターです。もちろん、つみたてNISAの対象商品である投資信託の価格にも影響しますので、金利の動きは日頃から敏感になっておく必要があります。

 2024年3月18日、19日に日本銀行の金融政策決定会合が開かれてマイナス金利を解除することが決まりました。具体的には民間の銀行などが日本銀行にお金を預ける際の金利がマイナス0.1%からプラス0.1%に変更されました。

 そこで、そもそもマイナス金利とは何か、解除でどのような影響がでてくるのか再度確認しておきましょう。

 日本銀行の主要な役割に「物価の安定」があります。日本銀行は長年続くデフレ(物価が下がっていくこと)からの脱却するため、消費者物価の毎年の上昇率を2%と定め、これまで各種の施策を実施してきました。その1つが2016年から始まったマイナス金利政策です。通常、民間の銀行等が日本銀行にお金を預ければ、金利が付きお金は増えるのですが、マイナス金利はお金を預けると逆に金利相当額を預け先の日本銀行に支払わなければなりません。そうすると、民間の銀行にとっては、日本銀行にお金を預けるよりも企業や個人への貸し付け、また投資に回す方が一層有利になり、市中に出回るお金が増え、ひいては景気を刺激することになり物価を押し上げる要因となります。

 天候による変動が大きい生鮮食品を除いた消費者物価指数は、一昨年の平均が前の年より2.1%上昇し、去年も一昨年に比べ3.1%上昇しました。また、賃金も上昇傾向にあることから、持続的な2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になったという判断により、マイナス金利解除となりました。

 さて、今回のマイナス金利解除がどのような影響を与えるのでしょうか。

 生活にプラスに働くのが、銀行などに預ける預金の金利が上がることです。これまでは日銀のマイナス金利を背景に多くの金融機関が普通預金の金利を0.001%に設定していて、ほぼ金利がつかない状態でした。今後は預金の金利が引き上げられる可能性があります。既に大手銀行の10年定期は年率0.3%となっています。

 これに対して、デメリットになるのは、住宅ローンの金利上昇です。固定型金利は、すでに引き上げの傾向が出てきていますし、変動金利の引き上げも予想されます。

 また、一般的に金利が上がれば、お金を借りたときに支払う利子が増え、個人や企業はお金を借りづらくなるので消費が減速し、物価上昇は抑制されます。株価も下落圧力がかかります。為替においては、日米の金利差が縮まれば、「円高ドル安」傾向になります。

 今後、日本銀行が更なる金利引き上げを行なうかどうかよく見ておきましょう。