7月末、日銀は7月31日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度に引き上げることを決定しました。日本では、物価上昇率を2%と定め、マイナス金利も含めた金融緩和政策をとって来ましたが、ここで方向転換となります。一方、米国では物価高騰を抑制するために金利を繰り返し引き上げてきましたが、今月FRB議長は、9月には利下げに踏み切ることを示唆しました。こちらも方向転換です。この両者の方向転換で、日米の金利差は縮まることになります。このような金利の動きが日米の為替や景気、そして輸出入関連企業にどのような影響があるのか、基本的な関係についておさらいしておきます。

 一般的に金利が上がれば、お金を借りたときに支払う利子が増え、個人や企業はお金を借りづらくなり消費が減速し、物価上昇は抑制されます。株価も下落圧力がかかります。逆に金利が下がれば、消費は喚起され企業活動も活発になり、物価は上昇傾向となります。株価も上昇傾向です。

 また、金利は為替相場にも影響を及ぼします。日本円の金利が低く、ドルの金利が高いと、人は日本円の資産を減らして、ドル資産の比率を増やそうとします。為替は「円安ドル高」傾向となります。今後、日本の金利が引き上げられ、日米の金利差が縮まれば、「円高ドル安」傾向になります。1ドル160円程度であった為替は、既に1ドル144円程度になっています。

 次に為替と輸出入の関係ですが、例えば、300万円の車が1ドル100円で輸出されれば、3万ドルですが、円安で1ドル150円となれば2万ドルになります。割安感がでて、消費が喚起されます。輸出関連企業にとっては、円安は有利になります。一方、輸入品は高くなり、輸入関連企業にとっては、逆風となります。

 為替の輸出入関連企業へ影響についてはニュースにも取り上げられますが、具体的にどのような企業があるのでしょうか。

 輸出関連企業は、例えば自国で製造した車両を海外に輸出する自動車メーカーや、自国で製造した加工食品を他国に輸出する食品メーカーなどです。

 具体的には、トヨタ、ホンダ、日産などの自動車メーカー、ソニー、パナソニック、シャープなどの家電メーカー、明治、森永製菓、カルビーなどが、自国で製造した食品や飲料を海外に輸出している食品メーカーなど、様々な業種があります。

 一方、輸入関連企業には、例えば、海外から衣料品や食料品を輸入して自国内の小売店で販売する企業などです。伊勢丹、三越、高島屋など百貨店、イオン、マルエツなど食品や家庭用品などを海外から輸入して販売している量販店などもあります。僅かながらの金利の変動が為替や企業収益にも影響を及ぼすことをおさえておきましょう。