“意識を変える” 「癖」をつける
最近、防大1期生の大先輩の「オーラル・ヒストリー」や80歳代になって書かれたものを読ませていただく機会があった。そこには、防大入校以来、宿命のように背負わされた重荷に果敢に立ち向かった自衛官人生が見事に記録され、かつ70歳をこえたばかりの筆者などが到達できない、80歳代の「境地」が余すところなく綴られていた。
そして、人生の節目毎、役職毎にそれに相応しい「意識」とか「志」を持つ大切さや人生の「奥の深さ」までも教えられ、ワクワク感が増大した。
「意識」を変えることは難しい
自衛官のみならず、定年後の「人生の後半戦」をいかに生き延びるかがシニア世代の大事なテーマになっており、そのために「50代からの意識改革」が提唱されていることは前に紹介した。
また、個人差の大きい高齢者を一律に扱うのは現実的でなく、「エイジフリー社会」が到来したことも取り上げた。その差が生じる根源もどうも「意識」にあるようだ。
定年直後、仕事を失った喪失感やカルチャーショックから、「定年症候群」に陥る人も増えているといわれる。いつの年代もだれでも、急に「意識改革」するのはそう簡単ではないのである。
これらを知って、毎回の業務管理教育においても、「生き延びるための意識改革」を力説している。だが、30数年間、ひたすら真面目に生きてきた自衛官が、定年間際になって「これまでの常識を捨てよ」などと言われて戸惑うばかりなのも理解でき、最近、この「意識改革」が最も難しいのでは、と感じ始めている。
しかし、定年はだれも避けて通れない。ではどうすればよいのだろうか。
節目毎に「意識」を変える
その解決策は、大先輩の人生から学んだことを適用すると、40代は40代、50代は50代と人生の節目毎、役職毎にそれに相応しい「意識」を持つこと、言葉を代えれば「意識を変える癖をつける」、あるいは「意識を成長させる」ことにあると考える。
それも個人差があるだろうが、大切なのは、年齢を増すごとに「定年後」を〝意識〟し、そのシェアを徐々に増やしていくことだ。
このように、〝意識を変える〟「癖」を定着させることが、定年間際に、あるいは定年直後に戸惑わないため、さらに充実した「定年後」を送るための唯一無二の方法であると断言したい。
意識を変えることは行動を変えること
「意識改革」を実際に行うことがなぜ難しいか、それは「『意識』を変えることは『行動』を変えること」を理解していないことにその訳がありそうだ。端的な言い方をすれば、頭の中で「意識」はしてもそれに伴う「行動」を起こさなければ何も新しい結果を生み出せないのである。それらを含め、次回も「意識改革」について続けよう。
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1年間12回目の予定でスタートした本シリーズは今回が最終話となる予定でしたが、このテーマは「繰り返し、丁寧に訴えないと理解されない」と紙面をご提供いただいた防衛ホーム側と考えが一致し、まだまだお伝えしたいテーマも残っていることから、防衛ホームに感謝申し上げながら、もうしばらく継続することにしました。現役自衛官の皆様の定年後「人生の後半戦」のために少しでもお役に立てれば望外の喜びです。請うご期待!
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